2009 Fiscal Year Annual Research Report
分子線エピタキシー成長中の反射電子回折強度振動の起源解明と成長様式の理論的研究
Project/Area Number |
20540313
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
川村 隆明 University of Yamanashi, 理事 (20111776)
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Keywords | エピタキシャル / 計算物理 / 表面・界面物性 / 結晶成長 / 電子回折 |
Research Abstract |
GaAs(001)面上の分子線ホモエピタキシャル成長中のRHEED強度振動の起源を解明した。この系は、これまでに英国インペリアルカレッジのグループを中心として、盛んに研究されて来た。彼らはRHEED強度振動の起源は表面のステップ密度であるとしてきだが、これに対していくつかの反論も出され、決着がついていなかった。 本研究での結果と成果は、以下のようにまとめられる。 1.インペリアルカレッジから実験データを得て、彼らの実験条件において、RHEED強度振動の起源を解明した。この条件下では、(1)入射電子と平行な方向に対してはステップ密度、(2)入射電子と垂直な方向に対しては原子密度、が主たる起源であることを解明した。 2.この結果は、Gaではなく基板層のAsが成長様式を決めていることを示しており、GaAsのような2成分系の成長で、モフォロジーを決める原子を明らかにした点に意義がある。 3.20年度明らかにしたSi(001)について、国際会議で発表するとともに、日本顕微鏡学会でも招待講演を行った。GaAs(001)の結果については、日本物理学会で口頭発表を2回行った。 RHEED強度振動の起源の結果は、ステップ密度が主な起源であるという議論と、原子密度が主な起源であるという議論のいずれでもなく、方向によって起源が異なるということを示しており、これまでの起源に対する論争に決着をつけるものであることが重要である。さらに、この結果は、エピタキシャル成長の異方性と関連づけられるなど、今後応用面での発展が期待されるものである。
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