2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540314
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
内藤 賀公 Osaka University, 大学院・工学研究科, 助教 (90362665)
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Keywords | 原子間力顕微鏡 / 磁性薄膜 / 表面科学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、原子間力顕微鏡法(AFM)を用いて磁性原子膜表面の構造を原子レベルで明らかにし、そこに発現する磁性と構造との関係を解明することにある。今年度は1.AFM装置の高感度化(探針試料間相互作用の高感度測定)と2,磁性膜作製のための蒸着機構の開発と3,磁性探針作製を行ってきた。 1.従来のAFMによる相互作用力検出法だけでは試料表面と探針先端の磁性原子間に働く微弱な交換相互作用力(磁気的相互作用力)を検出することは困難である。また静電気力分光測定による試料表面の電荷情報は高感度に得られていない。そこで、更なる高感度な力検出を目的とし、新たにカセンサーの2次共振モードによる金属(ビスマス)表面のAFM観察を行った。従来の方式(1次共振モード)と比較し、試料表面の原子配列を高感度に画像取得することに成功した。2.超高真空下で磁性原子(鉄、コバルト)を飛ばして試料表面に吸着させ、原子スケールの磁性膜を作製するための蒸着機構を開発した。現在、標準試料の上に磁性原子を蒸着させ必要なパラメータ(電流値、試料温度、時間等)を最適化中である。低温蒸着機構(蒸着時の試料を低温に保つ)は来年度作製する。3.既存の金属探針作製機構を改良し、市販のシリコン探針に磁性原子(鉄)層を形成させることで磁性探針の作製に成功した。従来のシリコン探針では、シリコン特有の特性(ダイマー構造を作る)により、試料表面原子構造を反映しない異常像が複数観察される。この磁性探針を用いると異常像は観察されず、表面の原子配列をそのまま反映した画像だけが取得できた。この磁性探針を用いて磁性膜表面の画像化、交換相互作用力の検出、静電気力分光測定を行っていく予定ある。
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