2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540314
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
内藤 賀公 Osaka University, 工学研究科, 助教 (90362665)
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Keywords | 原子間力顕微鏡 / ゲルマニウム / シリコン / 表面弾性 / 磁性薄膜 |
Research Abstract |
本研究の目的は、原子間力顕微鏡法(AFM)を用いて磁性原子膜表面の構造を原子レベルで明らかにし、そこに発現する磁性と構造との関係を解明することにある。今年度は1.AFMを用いた表面弾性情報の取得技術の開発と2.固体表面(シリコンとゲルマニウム)の歪や弾性情報の原子スケールでの取得と3.磁性膜作製とAFMによるその評価を行ってきた。 1.表面磁性や電子物性は表面原子がその配列を数~10%変化しただけでも劇的に変化するため、表面における原子スケールの歪や弾性情報を取得することはその磁性や電子物性との相関を知る上で重要である。今回高感度に表面の弾性(硬さ)情報を原子スケールで観測するため新たに力センサーを複数のモードで同時に励振して複数の物性情報を取得する多周波数原子間力顕微鏡法を開発した。これによって表面の原子構造を取得するだけでなく、同時に弾性情報を得ることが可能となった。2.開発したAFM技術を用いてシリコン表面のステップ構造を観測し、そこに3.6%の圧縮歪が集中することを世界で初めて観測した。本成果は学術誌に投稿し掲載された(Y.Naitoh et al, J.Phys.Soc.Jpn 79,013601,2010)。また、ゲルマニウム表面において欠陥近傍の表面原子結合が硬化することを世界で初めて観測することに成功した。現在その成果を科学誌に投稿中である。3.超高真空下で清浄な酸化銅表面の作製に成功し、現在磁性原子(鉄、マンガン)をその試料表面に吸着させ、原子スケールの磁性膜を観測中である。今後この系を用いて磁性膜表面の原子構造と弾性情報を同時に観測し、さらに交換相互作用力の検出、静電気力分光測定を行うことで表面磁性や電子物性情報と表面弾性との関係を探っていく予定である。
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Research Products
(6 results)