2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540314
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
内藤 賀公 大阪大学, 工学研究科, 助教 (90362665)
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Keywords | 原子間力顕微鏡 / ゲルマニウム / 表面弾性 / 磁性薄膜 / 鉄 / 酸化銅 |
Research Abstract |
本研究の目的は、原子間力顕微鏡法(AFM)を用いて磁性原子膜表面の構造を原子レベルで明らかにし、そこに発現する磁性と構造との関係を解明することにある。1.表面弾性情報を取得するための多周波数変調AFM法開発し、ゲルマニウム(110)表面の弾性情報を原子スケールで取得することに成功した。本成果は学術誌に投稿し掲載された(Y.Naitoh et al. J.Vac.Sci.Technol. 28, 1210, 2010)。また、ゲルマニウム表面には大きく分けて2種類の原子(非対称ダイマーの上に突き出た原子と表面に沈んだ原子)が存在するが、沈んだ原子の方が突き出た原子よりも表面と強く結合していることを見出した。本成果は学術誌に投稿準備中である。2.表面の局所電荷情報を得るには表面原子とAFM探針間に働く静電気力を高感度に取得する必要がある。そのため、カンチレバー励振の小振幅2次モードによる静電気力の取得を試みた。しかし1次モード(2次モード励振下で容易に発振する)発振がおこり、カンチレバー励振を不安定化させる。そこで、Qコントロール法による1次モード励振を抑制させる新しい方法を開発し、2次モードでの安定な表面情報取得に成功した。本成果は学術誌に投稿中である。3.酸化銅(O-Cu(110))表面上に鉄磁性膜の作成を試みてきた。しかし、表面に鉄原子によるナノ構造は容易にできず、無秩序な表面構造をとることが観測された。その無秩序構造の起源を探るため、酸化銅表面上の鉄原子の初期吸着過程を調べた。鉄原子はサーファクタント効果により酸化銅表面の酸素原子と置換し、酸素はその近くのサイトに押し出されることをAFM観測により初めて観測した。今後はこの系を用いて表面でのナノ構造作成を模索し、磁性膜表面の原子構造と弾性情報を同時に観測し、さらに交換相互作用力の検出、静電気力分光測定を行うことで表面磁性や電子物性情報と表面弾性との関係を探っていく。
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Research Products
(3 results)