2010 Fiscal Year Annual Research Report
高分子との相互作用による半導体量子ドットの発光特性制御
Project/Area Number |
20540316
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
中西 俊介 香川大学, 工学部, 教授 (30155767)
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Keywords | 量子ドット / CdSe/ZnS / 高分子 / TiO_2ナノ粒子 / Blinking / 位相緩和 / 四光波混合法 |
Research Abstract |
研究実施計画に沿って,半導体量子ドットの高分子・ナノ粒子環境に於ける光学特性変化と位相緩和の変化についての研究を実施した。得られた研究成果は次の通りである。 【光学特性変化】CdSe/ZnS量子ドットの高分子による蛍光スペクトル,蛍光寿命の変化はCdSe量子ドットの場合とほぼ同じであった。TiO_2ナノ粒子を量子ドットに付加した場合には溶液では蛍光強度大幅な減少が観測されたが,蛍光寿命では大きな変化を見いだせなかった。しかし,ガラス基板上に化学的に固定した単一量子ドットでは,蛍光スペクトルと蛍光寿命にTiO_2によるわずかな変化が検出された。単一量子ドットのBlinking特性の測定では,量子ドットによってはblinking特性が改善されてOFF時間が減少するという興味ある現象を検出した。これは,求電子性の強いTiO_2との相互作用により新たな電子移動経路が導入されたことで,Blinkingの原因と考えられるAugerイオン化過程が抑制されたと考えられる。このような解析を踏まえて,研究結果を論文として公表した。 【位相緩和特性変化】CdSe/ZnS量子ドット溶液に於ける四光波混合法による位相緩和の測定を行い,トルエン,クロロホルム溶媒での結果の再現性を確認した。また,新たな溶媒としてテトラヒドロフランを用いて測定したところ,非常に長い位相緩和時間を観測することに成功した。これらの結果は,溶媒が量子ドットの位相緩和に非常に大きな影響を与えていることを示している。溶媒の双極子モーメントの大きさと位相緩和の相関について考察し,国内学会等で結果を発表した。また,論文として公表予定である。
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