2008 Fiscal Year Annual Research Report
量子ドット・ナノ物質系における近藤効果の理論的研究
Project/Area Number |
20540319
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
小栗 章 Osaka City University, 大学院・理学研究科, 教授 (10204166)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 裕規 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 講師 (60373239)
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Keywords | 量子ドット / 近藤効果 / 超伝導接合 / 電子相関 / 数値くりこみ群 / 量子輸送 / 国際研究者交流 / イギリス:ドイツ |
Research Abstract |
本研究の主題である量子輸送における電子相関の効果に関して、主として、3角形に配列された3重-量子ドット系の近藤効果、および超伝導体と接合された量子ドット系の問題に取り組んだ。 (1)3角形に配列された3重-量子ドット系では、ゲート電圧を調整することにより、ドット内の電子数を変化することができる。我々は、電子数3個の場合には軌道縮退によりSU(4)の高い対称性を持つ近藤効果、4個の場合は長岡強磁性と近藤効果の競合に関する数値くりこみ群(NRG)を用いた詳細な計算に基づき明らかにした。論文は1編印刷中、1編準備中である。さらに、3角形配列の歪による摂動がこれらに与える影響を調べてる。現実の系では歪があるため、実験との対応には不可欠になる。 (2)超伝導-量子ドット-超伝導の接合系のJosephson接合系では、これまで理論的に信頼度の高い計算法である量子モンテカルロ法(QMC)とNRGから得られたトンネル電流の結果が合わず問題として残されていた。我々はドイツのグループと協力してこの問題に正しい解答を与えた。我々は、NRGの計算精度を詳細にチェックし比較した結果、他のグループによる従来のNRGの結果に精度の問題があり、QMCの結果も低温側では正しくないことがわかった。また、汎関数くりこみ群による解析も適用範囲内は我々のNRGと一致した。 (3)超伝導-量子ドット-常伝導の接合系のうち、2重量子ドットがT字型配列している系、および直列配列している系において、Andreev散乱と近藤効果、および量子干渉効果が相互に関連した多彩な輸送現象が見られることを、NRGと局所Fermi流体論を組み合わせた計算により明らかにした。特に、新奇な超伝導近接効果と近藤効果の競合現象を見出した。
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