2009 Fiscal Year Annual Research Report
量子ドット・ナノ物質系における近藤効果の理論的研究
Project/Area Number |
20540319
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
小栗 章 Osaka City University, 大学院・理学研究科, 教授 (10204166)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 裕規 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 講師 (60373239)
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Keywords | 量子ドット / 近藤効果 / 超伝導接合 / 強相関電子系 / 数値くりこみ群 / 量子輸送 / 国際研究交流 / イギリス:ドイツ |
Research Abstract |
平成21年度は、3角形3重量子ドット系の近藤効果、および超伝導体と接合された直列2重量子ドット系におけるAndreev散乱と近藤効果の競合に関する問題を中心に研究を進めた: (1) 3角形3重量子ドット系では、ドット内の共鳴準位間を電子が周回する電子のパスがあるため量子干渉効果と電子相関の協演により非常に多彩な近藤効果が起こり得る。現実の系では、ドットの不均一などのため周回パスの対称性が低くなるため、我々は正三角形構造からのずれが小さい場合にその影響を調べた。その結果、SU(4)近藤効果は対称性の低下に敏感に応答しスピンSU(2)の近藤状態に移り変わるが、長岡強磁性に基づくスピンS=1の近藤効果は摂動に強いことが明らかになった。また、数値くりこみ群の固定点に関する一般的な考察から、コンダクタンスのゼロ点に置いては、s波とp波の部分波のエネルギースペクトルが縮退するため、低エネルギーの性質が高エネルギー領域とは独立な起源のSU(4)対称性をもつ局所Fermi流体論で記述されることを示した。 (2) 超伝導/直列2重量子ドット/常伝導の接合系の低温の輸送特性を数値くりこみ群と局所Fermi流体論を組み合わせた精密な計算により調べた。特に、各ドットの共鳴エネルギー、ドット間の結合強度を制御することにより、超伝導近接効果と電子相関による多様な干渉効果が見られることを示した。また発展として中央に単一ドットを置いた3端子の接合系の性質も調べており、2本の超伝導リードと1本の常伝導リードの系ではJosephson位相、Andreev-近藤共鳴状態、および0-π状態間の量子相転移が相互に関連した物性が見られ、その全貌を解明中である。
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