2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540320
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
石田 浩 Nihon University, 文理学部, 教授 (60184537)
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Keywords | ヘテロ界面 / 金属絶縁体転移 / クラスター動的平均場理論 / エムベッディッドGreen関数法 / トンネル接合 |
Research Abstract |
研究経過:6月にユーリッヒ研究センターのD.Wortmann博士を招へいし、エムベッディッドGreen関数法を用いた界面の電子構造計算法について議論した。8月にユーリッヒ研究センターに滞在し、クラスター動的平均場理論を用いた金属/絶縁体界面の電子構造計算に関して、A.Liebsch博士と共同研究打合せを行った。今年度予算は、出張旅費及び計算環境の整備に使用した。 研究成果:金属電極/モット絶縁体薄膜/金属電極から成るサンドイッチ型ヘテロ界面を考え、その電子構造をクラスター動的平均場理論によって調べた。従来の強相関ヘテロ構造の計算では、クーロン相互作用による電子自己エネルギーのオンサイト成分のみを考慮するシングルサイト近似が用いられてきたが、本研究では、原子層間の自己エネルギー非対角成分を取り入れた計算を初めて行った。シングルサイト近似では、孤立薄膜の金属絶縁体転移は、オンサイト自己エネルギーの虚部の発散により生じるが、本計算により、自己エネルギー非対角成分の実部の不連続変化により生じる新しいタイプの金属絶縁体転移を見出した。絶縁体薄膜が金属電極に挟まれた場合、前者の相転移は金属との近接効果により消失して、温度がフェルミ温度以下であれば,フェルミエネルギー付近の状態密度には金属的な擬粒子ピークが出現する。一方、後者の相転移はサンドイッチ系でも存在するため、薄膜内部でのフェルミエネルギー付近の状態密度は非常に小さくなる。その結果、ヘテロ接合の界面垂直方向の電気伝導度が、シングルサイト近似で予測される値に較べて、大幅に減少することが分った。この計算結果をまとめた論文の投稿準備をしている。
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