2008 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブのTHz光領域の光学応答とTHz光発生・検出に関する研究
Project/Area Number |
20540321
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
市田 正夫 Konan University, 理工学部, 准教授 (30260590)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 珠緒 (松本 珠緒) 甲南大学, 理工学部, 准教授 (80283034)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 非線形光学応答 / テラヘルツ光 |
Research Abstract |
今年度は、1)3次非線形感受率の測定、2)単層カーボンナノチューブの位相緩和時間の測定、3)THz領域の光学スペクトル測定、を行った。 1. 単層カーボンナノチューブがバンドル状になっている薄膜試料や、孤立しているミセル化試料について、3次の光学非線形感受率χ^<(3)>の測定を行い、孤立化している試料では、バンドル試料に比べて性能指数Imχ^<(3)>/αが一桁以上大きいことを明らかにした。また、性能指数にはチューブ直径依存性があり、直径の大きなチューブほど大きな値を示すことを明らかにした。 2. 単層カーボンナノチューブの位相緩和時間(T_2)の測定を行った。位相緩和時間には、試料依存性、温度依存性、励起光強度依存性があった。孤立試料ではバンドル試料に比べて長い位相緩和時間を示した。また、高温、強励起下ほど短い位相緩和時間になった。温度依存性や励起光強度依存性は、位相緩和時間が励起子-格子相互作用や励起子-励起子相互作用によって支配されていることを示している。また、非線形性能指数の増大に位相緩和時間も関わっていることがわかった。 3. 95%以上の高純度で分離された半導体および金属ナノチューブの薄膜を作製して、その紫外、可視、近赤外およびTHz領域の吸収スペクトルの測定を行った。THz領域では金属チューブが半導体チューブに比べて大きな吸収を示したが、その振る舞いは単純なDrudeモデルでは説明できないことがわかった。
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