2008 Fiscal Year Annual Research Report
タングステン酸結晶における熱膨張異常フォノンモードに関する研究
Project/Area Number |
20540322
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Research Institution | Kushiro National College of Technology |
Principal Investigator |
須田 潤 Kushiro National College of Technology, 電気工学科, 教授 (20369903)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神嶋 修 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (90321984)
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Keywords | フォノン / 格子力学 / 第一原理計算 / 熱膨張異常 / 灰重石構造 / タングステン酸結晶 |
Research Abstract |
本研究の目的は,第一原理と格子力学を組み合わせた計算方法により,タングステン酸結晶における温度領域の厳密なモード解析を行い,ラマン分光実験や格子定数の温度依存性などの実験結果と比較して,低振動数フォノンの熱膨張異常モードの非調和過程を理論的に解明することである. 本年度は,第一原理によるポテンシャルパラメータを用いた格子力学計算法により,タングステン酸結晶(BaWO_4)に関するフォノン計算を,高速計算機を使用して行った.他の酸化物結晶において,この方法より計算された,Γ点の振動数は,第一原理の直接計算の結果とほぼ一致することより,第一原理と格子力学を組み合わせた計算方法の有効性が確認された(1).タングステン酸結晶(BaWO_4)について,低温領域における系統的な高精度な偏光ラマン分光実験を行い,定常状態における最低振動数の熱膨張異常モードを古典モデルの計算により調べ,計算結果と実験値の比較・検討を行った.BaWO_4結晶において,第一原理計算と格子力学を組み合わせた計算より得られたΓ点での振動数は,実験値を良く再現し,最低振動数をもつ熱膨張異常モードのモードグリウナイゼンパラメータの値のみが負になることがわかった.また,DOSの計算値による格子比熱の温度依存性は実験値とほぼ一致し,このDOSにおいて大きなバンドギャップが存在することがわかった.BaWO_4結晶における格子振動モードのラマンスペクトル幅のAnharmonicityは,このDOSのバンドギャップと関係することが予測された(2).(1)の研究結果については,25TH INTERNATIONAL CONFERENCE ON LOW TEMPERATURE PHYSICS (LT25), International Union of Pure and Applied Physics (IUPAP)で報告し,(2)の研究結果については,日本物理学会年会(第64回)で研究発表を行った。
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Research Products
(5 results)