2010 Fiscal Year Annual Research Report
ゼオライト単一粉末結晶の赤外スペクトル解析の為の赤外近接場分光装置の開発
Project/Area Number |
20540325
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Research Institution | 財団法人高輝度光科学研究センター |
Principal Investigator |
池本 夕佳 (財)高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門, 副主幹研究員 (70344398)
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Keywords | 光物性 / 走査プローブ顕微鏡 / 赤外放射光 / ゼオライト |
Research Abstract |
赤外分光は、分子振動や低エネルギーの電子状態を測定する重要な技術であるが、通常の顕微赤外分光では、回折限界のため数μmの空間分解能しか達成できない。本研究課題では、ゼオライト粉末結晶のスペクトルを測定するために、高輝度白色光源である赤外放射光を利用して、回折限界を打破してナノメートルオーダーの空間分解能を持つ赤外近接場分光装置を開発した。SPring-8の赤外物性ビームラインBL43IRにおいて行った。AFM装置とスペクトル測定のためのFTIR装置を組み合わせて、近接場分光装置を組み上げた。AFMプローブに赤外放射光を集光し、その散乱光を観測する。近接場光は、散乱光に含まれるが、試料表面やプローブシャフトからの単なる散乱光の方が2桁程度強い。AFMプローブは、試料とプローブ間の距離を一定に保つために共鳴振動しているが、この振動を利用した変調分光を行うことにより、微弱な近接場信号を抽出した。散乱光をロックインアンプに入力し、プローブ振動の2倍の振動数を持つ信号を取り出して、スペクトル測定に利用する。測定試料に関して、ゼオライト粉末結晶のような微少結晶では試料の凹凸による影響を考える必要があるため、まずは、平坦な試料で装置評価を行った。シリコン基板上の金薄膜を利用し、金のエッジで測定を行ったところ、10μm近辺の波長領域で300nmの空間分解能を達成した。この結果を、国内の各種学会や、国外の国際会議で発表するとともに、論文にまとめた。
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