2010 Fiscal Year Annual Research Report
軟X線ダイナミクス計測のための高速APD検出器の開発
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20540326
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Research Institution | Japan Synchrotron Radiation Research Institute |
Principal Investigator |
岡田 京子 (財)高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門, 研究員 (70399616)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 哲也 (財)高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門, 主幹研究員 (70311355)
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Keywords | 軟X線 / X線検出器 / 放射光 / 磁性 / 高速時分割測定 / ダイナミクス計測 / APD(アバランシェフォトダイオード) / XMCD(磁気円二色性) |
Research Abstract |
[研究の背景と開発の動機]近年のスピントロニクスの材料開発や高速記録デバイス開発(MRAM、スピンバルブ等)において、軟X線を利用したダイナミクス実験、つまり、スローモーションで詳細に物理観察を行う時分割測定が注目されている。この研究には、ナノ秒(10億分の1秒)レベルの高速性を保ちつつ、かつ広ダイナミックレンジで精度良く測定することが必要である。しかし、現状では、これに最適な測定器が存在しない。 [当該研究の目的と開発の現状]我々は、軟X線を高精度・高速・広ダイナミックレンジでエネルギー分解型フォトンカウンティングする、小型の軟X線用高速APD測定器システムの開発を行っている。硬X線領域に比べ、軟X線領域での測定器システムの開発には様々な技術的なバリア(軟X線対応、超高真空対応、微小信号の取得、低ノイズ化など)が存在する。しかし、我々はこれらを克服し、超高真空に対応可能な小型軽量・低ノイズのICF70フランジ型APDアセンブリを完成させた。さらに、特注アナログアンプ等を用いた測定システムも準備した。 [当該年度の研究成果]前年度の基礎特性評価をさらに進め、現状の測定システムおよび測定素子(APD素子)の問題点を明らかにした。そして、これらの改善方法を検討した。 [当該年度の結果の意義・重要性]高精度で定量的な応用実験の為には、次の3点が必要であることがわかった。(1):測定素子(APD素子)の検出器としての挙動の物性的な解明、(2):測定素子(APD素子)の材料学的にミクロな視点での理解、(3):(1)-(2)を元にした、測定素子の物性的・材料学的な改良。以上(1)~(3)に掲げた課題を解決した上で本測定器システムを軟X線磁気円二色性(XMCD)測定に取り入れれば、スピントロニクス材料に含まれる特定元素の磁気情報を選択的に、かつ定量的に探ることができることがわかった。
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