2008 Fiscal Year Annual Research Report
ナノスケールの遍歴電子磁性-電子移動を伴う光磁気特性の解明-
Project/Area Number |
20540327
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山本 昌司 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 教授 (90252551)
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Keywords | ハロゲン架橋遷移金属錯体 / ポリアセン / ナノチューブ / クラスター磁性体 / 光誘起相転移 / 群論 |
Research Abstract |
ハロゲン架橋白金錯体の線形・非線形光学応答に対する系統的理論構築が進んでいる。 1)複核白金鎖 A_4[Pt_2(P_2O_5H_2)_4X]・nH_2O(A=NH_4, Na, K, … ; X=Cl, Br, I), Pt_2(CH_3CS_2)_4Iに観られる2種類の電化密度波基底状態を光学励起し, これに伴う非線形格子緩和を実時間ダイナミクス・シミュレーションにより追跡した。特にソリトン対形成機構を詳細に解明し, スピンあるいは電荷の選択的輸送可能性について論じた。 2)梯子型白金2重鎖 鎖間架橋配位子の異なる2種類の梯子型白金錯体 : (C_8H_6N_4)[Pt(C_2H_8N_2)Cl]_2Cl(ClO_4)_3・H_2O, (C_10H_8N_2)[Pt(C_4H_13N_3)Br]_2Br_4・2H_2Oの光学伝導度スペクトルを計算し, これを実験観測と照らし, 双方の対照的基底状態及びその発現機構を解明した。 3)4角柱白金チューブ 次年度に向けて, ナノチューブ状遷移金属錯体の電荷及びスピン密度波状態の群論解析を開始した。活況を呈するカーボン・ナノチューブ研究の一方, 金属ベースの遍歴ナノチューブは知る限り例がなく,その電子・格子物性は興味深い。九州大学の錯体化学研究室は白金錯体鎖をチューブ状に成形することにし, これと連携しながら, 今後新奇な電子相・磁性相を開拓してゆく。 一方,有機高分子ポリアセンの光学応答の計算も進めている。半世紀近くに渡り議論の錯綜する2つの縮退Peierls相=シス・トランス結合交替相について,光学的判別法を提案した。
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Research Products
(4 results)