2008 Fiscal Year Annual Research Report
ウラン化合物における磁気メモリ効果の発現機構に関する研究
Project/Area Number |
20540330
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
李 徳新 Tohoku University, 金属材料研究所, 助教 (40281985)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山村 朝雄 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (20281983)
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Keywords | ウラン化合物 / スピングラス / 磁気メモリ効果 / 磁気緩和 / f-d(f-P)混成 / 磁化率 |
Research Abstract |
本研究では、ウラン化合物磁気記憶材料を探索すると共に、U_2TSi_3とU_2TGa_3(T=遷移金属)を主なターゲットに選択し、元素置換、組成変化、外部圧力の「三つの手段」を利用してf-d(p)混成の能動的な制御を実現する。「三つの手段」により磁気メモリ効果の変化およびその変化の規則性を観測し、3dおよび4f電子系物質と比較する上で、5f電子系磁気メモリ効果の特徴を究明する。物性物理学の立場から、ウラン化合物における磁気メモリ効果の物理描像を記述することおよび発現機構を解明することが本研究の目的である。平成20年度は、我々はU_2PdSi_3の純良単結晶を中心物質として、c面内において磁気メモリ効果を測定した。以下のように興味深い実験結果を得た。(1)ZFC磁化率のメモリ効果 : ZFC過程中、試料をそれぞれT_w=10, 9, 8, 7, 6Kで1時間保温した後、4.5Kまで温度を下げる。それから50 Oeまでの磁場をかけて、温度上昇とともに磁化率を測定する。測定した曲線と参考曲線(通常のZFC磁化率曲線)の差から明らかなマイナスピークが観測され、最大のピーク値は9K付近で現れた。これはスピングラス物質特有な磁気メモリ効果である。(2)ZFC磁気緩和のメモリ効果 : 測定前、試料を零磁場中8Kまで冷却した後、50 Oeの磁場をかけて磁化の時間変化(M(t))を1時間測定する。その後磁場が変わらず温度を5Kまで下げ、5KでM(t)を1時間測定する。それから温度が8Kに戻って、再びM(t)を1時間測定する。最後、繰り替えて同様な測定を行う。試料の磁化は5Kで2回の緩和を通った後、それぞれ元の状態に回復し、明瞭な磁気メモリ現象が観測された。以上の結果により、スピングラス転移温度以下で、U_2PdSi_3は磁気記憶性質を持ち、そのメモリ効果は9K前後で最も顕著である。
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