2010 Fiscal Year Annual Research Report
イットリウム鉄ガーネットにおける異常な電気磁気効果出現機構のNMRによる研究
Project/Area Number |
20540332
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
浅井 吉蔵 電気通信大学, 大学院・情報理工学研究科, 教授 (00109795)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 浩二 電気通信大学, 大学院・情報理工学研究科, 教授 (20183139)
中村 仁 電気通信大学, 大学院・情報理工学研究科, 准教授 (50313416)
小林 義彦 東京医科大学, 医学部, 講師 (60293122)
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Keywords | 電気磁気効果 / マルチフェッロイック / YIG / NMR / 鉄ガーネット / 誘電損失 / 磁器緩和 / TSEZ |
Research Abstract |
イットリウム鉄ガーネット(YIG)は、空間反転対称性のある結晶構造であるにも拘らず、1次の電気磁気効果(ME効果)を示すことが報告されている。この1次のME効果は酸素欠陥等の格子不純物に起因するという提案がなされているが、その機構については全く分かっていない。本研究では、YIG単結晶の電気磁気効果と^<57>Fe核磁気共鳴(NMR)の測定を行ない、YIGの電気磁気効果の詳細と発現機構を明らかにすることを目的としている。22年度の研究では、YIGのME効果に酸素欠損が寄与をしていることの実証を目指し、(1)Ca-dope YIGの交流磁化と誘電特性の研究、(2)^<57>Fe NMRの研究を行った。 (1)では、Y_<3-x>Ca_xFe_5O_<12>(0.005≦x≦0.1)で、Ca-dopeによるFe^<2+>濃度の減少及びFe^<4+>導入の効果を調べた。その結果、x=0.005ではFe^<2+>に起因する、x>0.02ではFe^<4+>に起因するいずれもDebye型の緩和が観測され、x=0.01-0.02がFe^<2+>が補償されFe^<4+>が導入される境界であり、この濃度領域では、熱処理の雰囲気による鉄イオンの価数の変動が顕著であることが解った。これより、酸素欠損と正孔の競合が鉄イオンの価数を変化させ、それに因って誘電・磁気緩和特性が変化することが分かり、dopeをしていないYIGの誘電・磁気緩和の起源は酸素欠損に伴うFe^<2+>であるという結論が得られた。 (2)では、YIG単結晶、多結晶によるNMR測定が始まり、Ce-dopeのYIGの研究が進行中である。
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