2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540333
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
安井 幸夫 Nagoya University, 大学院・理学研究科, 助教 (80345850)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 正俊 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40092225)
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Keywords | ハニカム格子 / 中性子散乱 / スピンギャップ / 磁気励起 / 磁気構造 / 特異な磁性 |
Research Abstract |
ハニカム格子系Na_3M_2SbO_6(M=Cu,Ni,Co)およびNa_2M_2TeO_6(M=Cu,Ni,Co)を取り上げ、その特異な磁性を研究している。MサイトがCuであるNa_3Cu_2SbO_6について単結晶を用いた中性子非弾性散乱実験を行い、singlet-triplet励起の直接観測により磁気励起の分散関係からスピンギャップの大きさや交換相互作用の大きさを決定することが出来た。さらに、MサイトがNiおよびCoであるNa_3M_2SbO_6(M=Ni,Co)とNa_2M_2TeO_6(M=Ni,Co)についても特異な磁性を調べた。これらの系はほぼ理想的なハニカム格子を形成しており、磁性イオンの特徴も考慮すると、ハニカム面内において等方的な形で交換相互作用が働いていると考えられる。多結晶試料を作成し磁化率と比熱を測定した結果、Na_3Ni_2SbO_6,Na_3Co_2SbO_6,Na_2Ni_2TeO_6,Na_2Co_2TeO_6はそれぞれT_N=18K,6K,34K,25Kで反強磁性転移することがわかった。また、磁化率の実験データに対して、4次までの高温展開の式をfitして最近接J_1,第二近接J_2,第三近接J_3を求めた結果、いずれもJ_1が強磁性的、J_3が反強磁性的、J_2はJ_1,とJ_3に比べて小さい値であった。J_1とJ_3の相互作用が競合するので、磁気転移温度以下でどのような磁気構造を持つのかは簡単に予想することはできず、興味が持たれる。Na_2Ni_2TeO_6を除く3種類の物質系に対して粉末中性子回折実験により磁気構造を調べた結果、Na_3Ni_2SbO_6とNa_2Co_2TeO_6ではハニカム格子内に強磁性的な鎖が存在し、その隣り合う強磁性鎖が反強磁性的に整列する磁気構造をもつことがわかった。一方、Na_2Co_2TeO_6では上述の2つの物質系とは全く異なる中性子scan profileが観測され、簡単には磁気反射に指数が付けられず長周期構造等の非自明な磁気構造であることがわかった。
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