2008 Fiscal Year Annual Research Report
表面界面のスピン構造とスピン制御:第一原理計算による理論的予測
Project/Area Number |
20540334
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
中村 浩次 Mie University, 大学院・工学研究科, 准教授 (70281847)
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Keywords | 表面界面磁性 / 第一原理計算 |
Research Abstract |
1.ハーフメタル強磁性体/反強磁性体界面のスピン構造の理論的予測 半導体と整合性の良い閃亜鉛鉱型結晶構造を有する遷移金属カルコゲナイド系のCrSe/MnSe及びCrTe/MnTeに対して、オンサイト電子相関(+U)を考慮した第一原理計算を行った結果、+Uを考慮しない場合と同様に、界面でハーフメタル的な電子構造を持つことを明らかにした。また、モンテカルロシュミレーションを用いて磁場・磁化特性を解析した結果、交換バイアスの発生が可能であることを示唆できた。 2.強磁性体/反強磁性誘電体界面のスピン構造の理論的予測 磁気電気効果を持つ反強磁性体を用いた外部電場印加による交換バイアス制御の微視的機構を明らかにするために、電気磁気効果を示す反強磁性体Cr_2O_3(六方構造)のバルクにおける電子構造と磁気構造を決定した。また、強磁性Co層との界面構造と磁気構造を決定し、さらに外部電場効果を考慮した第一原理計算手法を開発し、界面磁気構造に及ぼす外部電場効果を考察した。 3.磁性金属薄膜のナノスピン構造の理論的予測 基板上の3d磁性金属Feの単原子層薄膜のスピン構造を系統的に考察する目的で、スピン軌道相互を導入したコード開発を行い、W(110)基板上のFe単原子層の磁気構造安定性と、磁気構造に対するスピン軌道相互作用の役割について考察した。その結果、スピン軌道相互はスピンスパイラル構造に対してコリニアな強磁性体状態を安定にさせる働きがあることがわかった。しかし、Dzyaloshinssky-Moriya効果についても今後検討が不可欠である。
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