2009 Fiscal Year Annual Research Report
表面界面のスピン構造とスピン制御:第一原理計算による理論的予測
Project/Area Number |
20540334
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
中村 浩次 Mie University, 大学院・工学研究科, 准教授 (70281847)
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Keywords | 表面界面磁性 / 第一原理計算 |
Research Abstract |
磁気電気効果を持つ反強磁性体を用いた外部電場印加による交換バイアス制御の微視的機構を明らかにするために、本年度は電子相関(+U)の効果を考慮してCr_2O_3の電子構造を再検討した。その結果、Uの効果を導入した場合、実験と同様反強磁性体が安定となり、d軌道のエネルギー準位やバンドギャップはほぼ実験を再現することがわかった。このことからもCr_2O_3界面における電子構造を決定するためにUの効果が不可欠である。さらに、交換バイアスは界面構造に強く影響されることから、界面構造を正確に決定する前にCr_2O_3(0001)表面の電子構造についても計算し、表面構造の安定性について考察した。表面の吸着原子構造の違いにより絶縁相や金属相が安定になることがわかった。また、これらの表面に対して外部電場の効果を導入した計算を行い、表面電子構造に対する外部電場効果について解析した。一方、強磁性金属薄膜に対する磁気電気効果についても解析を始めた。 基板上の3d磁性金属Feの単原子層薄膜のスピン構造を系統的に考察する目的で、基板上のFe単原子層薄膜のスピン構造を系統的に考察した。昨年度のW(110)基板上のFe単原子層膜におけるスピンスパイラル構造の安定性の計算に引き続いて、この薄膜と混成が強い4dと5d非磁性金属(Mo、Nb、Ta)の基板上のFe単原子層膜についても計算した。その結果、薄膜と基板界面で生じる強いスピン軌道相互作用力により、Dzyaloshinssky-Moriya相互作用が顕著になることが分かった。
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