2008 Fiscal Year Annual Research Report
多極子秩序を発現させる高い対称性を有する結晶構造を持つf電子系化合物の物質探索
Project/Area Number |
20540339
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
関根 ちひろ Muroran Institute of Technology, 工学部, 准教授 (60261385)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松平 和之 九州工業大学, 工学部, 助教 (40312342)
深澤 英人 千葉大学, 理学研究科, 助教 (90361443)
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Keywords | スクッテルダイト化合物 / 多極子転移 / 高圧合成 / NMR / NQR / μSR / 熱膨張 |
Research Abstract |
希土類元素を含む4f電子系では、比熱などの熱力学的物理量に明確な特異点が現れるものの、従来の方法では主要な秩序変数を決めることができない相転移がしばしば発見されている。このような異常相転移の謎を解明する鍵は4f電子が持つ磁性以外の自由度、多極子モーメントであると考えられている。本研究では、多極子モーメントが大きな役割を果たしている異常相転移(多極子転移)を示す典型物質の探索を行い、巨視的、微視的な物性測定を行うことで、f電子系秩序の普遍的な性質を明らかにすることを目的としている。 充填スクッテルダイト化合物GdRu_4P_<12>, TbRu_4P_<12>はそれぞれ22K、20Kにおいて反強磁性的な相転移を示す物質であるが、複雑な温度一磁場相図を示すことなどから、これらの相転移は多極子が関与する異常相転移である可能性が指摘されている。我々は高温高圧合成法によりGdRu_4P_<12>、TbRu_4P_<12>の純良試料の合成を行い、低温X線回折実験、熱膨張、NMR、NQR及び昇SRの実験を行った。GdRu_4P_<12>の低温X線回折実験から、相転移に伴う結晶構造の変化は観測されず、格子定数、熱膨張にも不連続な変化は見られなかった。しかし、GdRu_4P_<12>の^<101>Ru-NQRスペクトルは転移温度以下で熱膨張から期待される変化以上に大きな温度変化を示すことが分かつた。さらに、TbRu_4P_<12>に関する^<101>Ru-NQR実験から、転移温度以下のスピン-格子緩和率の温度依存性が通常の反強磁性転移とはまったく異なる振舞を示すことが分かった。これらの振舞を理解するため、今後、単結晶試料を用いた詳細な実験が必要と考えられる。
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Research Products
(4 results)