2008 Fiscal Year Annual Research Report
新しい高温超伝導体単結晶の合成と中性子散乱によるスピン・格子ダイナミクスの研究
Project/Area Number |
20540342
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤田 全基 Tohoku University, 金属材料研究所, 助教 (20303894)
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Keywords | 銅酸化物高温超伝導体 / 単結晶育成 / 中性子散乱実験 / 磁気揺らぎ・フォノン |
Research Abstract |
Bi_2Sr_<2-x>La_xCuO_<6+δ>系、およびBi_<2+x>Sr_<2-x>CuO_<6+δ>系のアンダードープ領域からオーバードープドープ領域までの組成範囲で4種類の単結晶をFZ法で育成することに成功した.この結晶の作成は,組成変調させた原料棒を利用し、育成が簡単なPbドープした結晶から最終的にLaを多量にドープした系を連続育成する新しい方法で行った.育成した大型単結晶試料に対し、世界で始めてBi系超伝導体に対する系統的な中性子散乱実験をスタートした。中性子散乱の予備的な実験結果からは、Bi系超伝導体において高エネルギー磁気揺らぎが存在することが明らかとなり、La_<2+x>Sr_xCuO_4やYBa_2Cu_3O_<6+δ>との磁気励起スペクトルとの類似性から超伝導体に高エネルギー磁気揺らぎが普遍的に存在することを強く示唆する結果と言える。また、低エネルギー磁気揺らぎの組成依存性を調べた結果、希釈ドープ組成では格子非整合な(p,p)位置に磁気揺らぎ成分が見られ、ドーピングにより格子非整合相関に変化する様子も明らかにすることができた。さらにオーバードープ領域では低エネルギー励起は観測できず、磁気揺らぎの特性エネルギーがホールドープで高エネルギー側にシフトしていることを示す結果を示すことができた。これらの結果とこれまでにLa_<2-x>Sr_xCuO_4系に対して系統的に行われた中性子散乱実験の結果を比較すると、低エネルギー領域の磁気相関には物質依存性があるが、高エネルギー領域に磁気揺らぎが存在することが、高温超伝導体に共通する普遍的な性質であることを強く示唆する。
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Research Products
(9 results)