2009 Fiscal Year Annual Research Report
新しい高温超伝導体単結晶の合成と中性子散乱によるスピン・格子ダイナミクスの研究
Project/Area Number |
20540342
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤田 全基 Tohoku University, 金属材料研究所, 准教授 (20303894)
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Keywords | 銅酸化物高温超伝導 / 単結晶育成 / 中性子散乱 / 磁気揺らぎ |
Research Abstract |
Bi_<2+x>Sr_<2-x>CuO_6(Bi2201)ホール濃度の異なる試料に対して中性子散乱実験を行い、この系の低エネルギー磁気相関のホール濃度依存性の詳細を明らかにできた。不足ドープ組成で観測される格子非整磁気揺らぎの非整合度はドーピングに対してほぼ直線的に変化し、典型的な超伝導であるLa2-xSrxCuO4についてこれまでに報告されている結果と一致することが判明した。従ってホールドープ超伝導体では、非整合磁気相関の存在が一般的特徴である可能性が高い。また、希薄ドープ組成では磁気空間変調の方向が変化していることも見いだした。一方、Bi2201系は電子状態が活発に調べられているが、磁性の研究がこれまでほとんどないために両者の関係が不明であった。今回、中性子散乱の結果を電気抵抗測定などの結果と比べることで、低エネルギー磁気揺らぎの磁気散乱強度と電荷の局在化の相関を示唆する結果が得られた。電子ドープ銅酸化物の反強磁性磁気秩序相では、~80meVまでの磁気励起スペクトルの組成依存性が非常に小さいことも大型結晶を用いた中性子散乱実験でわかった。このことは超伝導相の低エネルギー領域で見られる顕著な組成依存性とは定性的に異なっており、電子ドープによる磁気相関の変化に量子臨界点が存在する可能性がある。また、新奇超伝導体であるFe(Se_<1-x>Te_x)系の結晶育成を海外グループとの共同のもとで行い、良質の結晶を得ることにも成功している。この系に対する磁気相関の研究も進めており、電子軌道との相関を示唆する異常な異方的磁気揺らぎを観測することもできた。
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Research Products
(17 results)