2008 Fiscal Year Annual Research Report
圧力下ミュオンスピン回転緩和法による強相関有機物質の磁性研究
Project/Area Number |
20540345
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
佐藤 一彦 Saitama University, 理工学研究科, 教授 (60225927)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 弘三 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (50323374)
髭本 亘 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究主幹 (90291103)
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Keywords | 有機物質 / ミュオンスピン回転緩和法 / 強相関電子系 / 高圧 |
Research Abstract |
平成20年度は、まず研究の予備段階として試料合成に力を注いだ。通常の有機物質単結晶の質量は1mg程度であるのでミュオンスピン回転緩和実験には莫大な量が必要となる。これまでに有機反強磁性絶縁体であるβ'-(BEDT-TTF)2ICl2(ICl2塩と略記)とβ'-(BEDT-TTF)(TCNQ)については各々2グラム程度の試料を得ていたが,β'-(BEDT-TTF)IBrCl(IBrCl塩と略記)について新たに試料合成を試み、約1グラムの試料を得ることに成功した。IBrCl塩については平成20年度に国内で運転が開始された大強度陽子加速器施設(J-PARC)にて常圧下のミュオンスピン回転緩和実験を行い、反強磁性転移に伴うミュオンスピン回転信号の検出に成功した。ICI2塩とIBrCl塩は常圧において22K及び20Kにおいて反強磁性転移を示めし転移温度はIBrCl塩の方が低いにもかかわらず、反強磁性状態におけるミュオンサイトでの内部磁揚はICI2塩よりIBrCl塩の方が大きいことが明らかになった。また、β'-(BEDT-TTF)2ICl2についてはカナダ・トライアムフ研究所にて最大圧力1.8GPa、最低温度2.7Kの条件で圧力下ミュオンスピン回転緩和実験を行った。得られた回転周波数と信号強度の圧力変化を解析することにより、0.6GPa近傍において圧力誘起磁気相転移が起こっていることを強く示唆する結果が得られた
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