2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540346
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮川 和也 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 助教 (90302760)
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Keywords | ゼロギャップ伝導体 / 電荷不均化 / 電荷秩序 / 有機導体 / 核磁気共鳴法 |
Research Abstract |
本課題では有機導体というバルク物質で実現されていると考えられているゼロギャップ状態およびその周辺物性を明らかにすることを目的としている。研究課題2年目となる。以下のような点を重点的に行った。 前年度θ-(BEDT-TTF)2I3(θ-I3)の常圧下13C NMRを行い、この物質が電子相関が比較的弱い金属であることを見出していた。本年度は類型の分子配列をもつα-(BEDT-TTF)2I3(α-I3)の常圧下13C NMR測定を行った。θ型とα型は類似の分子配列であるがθ型は単位格子中のBEDT-TTFはすべて結晶学的に等価であるのに対し、α型では非等価な3つのBEDT-TTF分子(A,B,そしてCサイト)が存在する。常圧での状態も異なりθ-I3が金属で低温で超伝導を示すのに対して、α-I3は135Kにおいて電荷秩序を起こし絶縁化する。加えて、ゼロギャップ状態が実現されるとされている圧力がα型では20kbarに対し、θ型では5kbar以上と異なっている。以前に報告されているα-I3の13C NMRデータなども活用し、詳細な磁場角度依存性を多数の温度点で測定した結果、結晶中に存在する非等価なBEDT-TTF分子の電子相関を表す量Kαをそれぞれの分子について決定した。この結果、α-I3の電荷秩序温度以上の高電気伝導度の状態では電子相関が強く働いていることが分かった。加えて電荷秩序温度以上でBとCサイトで生じている電荷不均化がすでにゼロギャップ状態への移行を示しているのではないかという指摘を行った。
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Research Products
(6 results)