2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540351
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
鈴木 勝 The University of Electro-Communications, 電気通信学部, 教授 (20196869)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
簑口 友紀 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教 (10202350)
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Keywords | He吸着膜 / 超流動 / 固相膜 / グラファイト / 界面摩擦 / 滑り運動 |
Research Abstract |
ナノスケールの摩擦現象の理解は工学的な視点からも重要であり、『ナノトライボロジー』と呼ばれる研究分野が発展している。その中の研究対象のひとつである物理吸着膜の滑り運動は、界面摩擦のメカニズムにミクロな視点からの知見を与えるものとして実験的にも理論的にも興味が持たれている。研究代表者・鈴木は、水晶マイクロバランス(QCM)法を用いてグラファイト基板上の^4He吸着膜の界面摩擦を測定した。測定の結果、2原子層膜以上の^4He吸着膜では低温で界面摩擦が減少し滑り運動を起こすことが明らかになった。最近、より高面密度の^4He吸着膜の系統的な測定により、^4He吸着膜上部の超流動層が下部の(固相膜の)滑り運動を抑制する、という新しい現象を見出した。 平成21年度は、この新しい現象の理論研究を進めると同時に、実験的研究では新しく開発した32kHz音叉型振動子の利用した10KHzの振動数域でのQCM測定を試みた。超流動による固相膜の滑り運動の抑制は、基板振幅と周波数でスケールされると予想される。これまでの予備的な測定によると、32kHz音叉型振動子の固相膜の滑り運動の抑制は、5MHz ATカット水晶振動子と比較して大きな基板振幅で観測され、両者の^4He吸着膜に働く外力はほぼ等しい領域であることが明らかになった。さらに32kHz音叉型振動子の低振幅領域では、固相膜の滑り運動に超流動転移に伴うヒステリシス(温度上昇では^4He吸着膜の超流動転移温度以上の高温でも固相膜の滑り運動が維持される。)が観測された。このヒステリシス現象の詳細な研究は今後の課題である。
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Research Products
(9 results)