2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540351
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
鈴木 勝 電気通信大学, 情報理工学研究科, 教授 (20196869)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
簑口 友紀 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教 (10202350)
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Keywords | He吸着膜 / 超流動 / 固相膜 / グラファイト / 界面摩 / 滑り運動 |
Research Abstract |
本課題は『吸着膜超流動と固相滑り運動の競合現象の解明』と題して、新たに発見された超流動が吸着固相膜の基板振動に対する滑り運動を抑制するメカニズムを実験研究と理論研究の共同のもと明らかにしようとするものである。研究分担者・簑口は、競合のメカニズムとして、吸着固相膜の滑り運動は第1原子と第2原子層の刃状転位の運動であり、吸着膜の上部の超流動による質量輸送がその運動を打ち消すモデルを提案している。このモデルによると、競合現象は、1)基板の共振振動数と基板振幅に成り立つある関係のもとで同じ振る舞いを示すこと、2)基板の原子スケールでの平坦さとその大きさに依存すること、が期待される。 一般に水晶マイクロバランス法による吸着固相膜の滑り運動の測定では、MHzの振動数領域のATカット水晶振動子を利用されていた。本研究では基板の共振振動数と基板振幅をこれまでの測定領域から大きく拡張することを目的に,10kHzの振動数領域の音叉型水晶振動子を利用した水晶マイクロバランス法を開発して、グラファイト基板上の吸着膜超流動と固相滑り運動の競合現象の測定に利用した。詳細な測定の結果、吸着膜超流動と固相滑り運動の競合は、MHzと同様に10KHz振動領域でも観測されること、競合が観測される10KHz振動領域の振幅はMHz振動領域の場合と吸着膜に与える力がほぼ等しくなることが明らかになった。これは上記の予想1)が確認されたことを意味し,固相滑り運動が、吸着原子層間の刃状転移の運動であることを強く支持する結果である。また、基板の平坦さを変えることを月的に単結晶膨潤グラファイト基板の測定し、競合の前駆現象がはじめて観測した。
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Research Products
(6 results)