2008 Fiscal Year Annual Research Report
内部構造をもつ磁性不純物による超伝導転移温度増大の可能性
Project/Area Number |
20540353
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
古賀 幹人 Shizuoka University, 教育学部, 准教授 (40324321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 正茂 静岡大学, 理学部, 准教授 (20281058)
楠瀬 博明 愛媛大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (00292201)
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Keywords | 物性理論 / 強相関電子系 / 超伝導 |
Research Abstract |
本研究の実施計画は、Prを磁性不純物として含む超伝導体を念頭においているが、昨年初めに報告された鉄系の高温超伝導体にも注目して研究を進めている。両者の共通点として、伝導バンドの多重性、あるいは軌道自由度が重要であると考えられる。初年度の研究では最初のステップとして、2つの伝導バンドで互いに符号の異なる秩序変数をもつ超伝導を仮定して、その不純物問題を厳密に解いた。以下、簡単にその内容を列挙する。 1.超伝導ギャップ内に現れる不純物準位は、不純物による伝導電子のバンド内散乱とバンド間散乱に依存し、それらの役割は、不純物の磁性・非磁性とで互いに入れ替わる。 2.仮定した超伝導は、カイラリティーをもつ(クーパー対が角運動量をもつ)超伝導に対応し、我々が以前研究した近藤効果の問題と密接に関連することがわかった。 3.伝導バンドの多重性を考慮することによって、磁性不純物による超伝導転移温度が増大しうることがわかった。これは単一バンドでは考えにくいことである。 以上の成果について、現在論文投稿準備中である。これらの成果は、「超伝導と磁性の競合・共存」の概念に新しい知見をもたらすものである。
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