2010 Fiscal Year Annual Research Report
内部構造をもつ磁性不純物による超伝導転移温度増大の可能性
Project/Area Number |
20540353
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
古賀 幹人 静岡大学, 教育学部, 准教授 (40324321)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 正茂 静岡大学, 理学部, 教授 (20281058)
楠瀬 博明 愛媛大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (00292201)
|
Keywords | 物性理論 / 強相関系 / 超伝導 |
Research Abstract |
最終年度にあたる今年度は、La_<1-x>Pr_xOs_4Sb_<12>超伝導体の磁性原子であるPr濃度の増加とともに超伝導転移温度鴛が増大するという実験事実を念頭に置いて、Pr不純物原子の結晶場-重項-三重項状態の寄与について詳しく調べた。以下、主な成果を列挙する。 1.非弾性不純物散乱のタイプ(磁気的・非磁気的)と超伝導のバンド多重性(バンド間の秩序変数の符号の同・異)との関係に注目し、T_c増大条件を明らかにした。 2.Pr-重項-三重項に起因する多極子散乱の異方性とT_cの磁場方向依存性との連関を明らかにし、弱磁場領域での上部臨界磁場の観測によるその実験的検証を提案した。 本研究成果は、多極子の動的振る舞いという観点から超伝導相関における不純物効果を再考する契機を与えるものである。今後、最新の実験情報を調査し、多極子起源による超伝導物性について本理論の適用可能性を検討していく。
|
Research Products
(5 results)