2009 Fiscal Year Annual Research Report
コバルト酸化物の超伝導相を分断する非超伝導相の起源
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20540354
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| Research Institution | Nagoya University |
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Principal Investigator |
小林 義明 Nagoya University, 理学研究科, 准教授 (60262846)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 正俊 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (40092225)
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| Keywords | コバルト酸化物 / 超伝導 / スピン一重項状態 / 核磁気共鳴 / 電荷秩序 / 核電気四重極共鳴 / 比熱 / ナトリウム秩序 |
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| Research Abstract |
層状コバルト酸化物超伝導体の超伝導電子対がスピン三重項状態ではないかと我々以外の多くの研究グループが考えていた。これに対して我々はこの研究が始まるころから揺るぎのない実験結果を提出し、スピン一重項状態の電子対であることを確立してきた。また、この系で現れるいくつかの超伝導相が全て同じ超伝導状態であることを示し、それらの超伝導転移温度T_c以上の常伝導相が同じ電子状態にあることを明らかにした。さらにいくつかの超伝導相や、それらを隔てる非超伝導相を持つ試料全てを作成することに成功した。これらのコバルト核電気四重極共鳴の測定を行い、その共鳴周波数がこの系の相状態の変化をみる非常に良いパラメータであることがわかった。我々はこれを基に層状コバルト酸化物超伝導体の相図をまとめ上げた。非超伝導相は低温で磁気秩序状態に転移するものと考えられていたが、相転移の情報を得るのにすぐれた比熱、交流帯磁率の測定結果から、これが磁気秩序相への転移ではなく、電荷不均一な状態への転移であることを世界で初めて明らかにした。以上の結論により、この系の超伝導電子対が磁気ゆらぎにより形成されているというシナリオは大きく変更受けることとなった。現在、この見方はほぼ確立したものとなっている。超伝導示さないが同じ層状コバルト酸化物でコバルトと酸素からなる層の間に挟まったナトリウムイオンの秩序化による様々な電荷秩序状態は見つけられていることから、この系の電子状態を考える上で電荷秩序あるいは電荷不均一は重要なパラメータとなっていることがわかった。
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