2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540357
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
西田 宗弘 Hiroshima University, 大学院・先端物質科学研究科, 准教授 (10329112)
|
Keywords | 超伝導材料・素子 / 電荷密度波 / 物性理論 / 量子コンピュータ |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、超伝導系のフラクソン対の動力学に関して下記の研究を実施した。 1. 超伝導/強磁性/超伝導(SFS)伝送線路におけるフラクソンと磁壁の相互作用 SFS伝送線路のF層中の磁区構造がπフラクソン対の運動に及ぼす影響を調べるために磁区構造を記述するLandau-Lifshitz-Gilbert方程式とフラクソンを記述するサインゴルドン方程式に対して数値シミュレーションを行った。通常の物質を用いる限り磁壁はフラクソンに対して不動の障壁となり、磁化の容易軸が伝送線路に垂直な場合、障壁を乗り越える臨界速度は、伝送線路内の光速の9割程度になることが分かった。 2. 一次元SQUID列中のフラクソン対の並進運動 相対論的な時間遅れにより、一次元SQUID列中を移動するフラクソン対の内部振動周期が移動速度と共に増大する事を明らかにした。また、外部磁場の印加により、空間反転非対称なポテンシャルをフラクソン対に対して導入する事が出来る事を示した。このポテンシャルがラチェット効果を生み、純粋な交流駆動によるフラクソン対の並進運動方向に偏りが生じる事を明らかにした。これにより、時間平均ゼロの交流電流を用いてフラクソン対の位置制御を行う可能性が開かれた。 3. ブリーザー間相互作用 フラクソンとアンチフラクソンの対であるブリーザーに関して、二つのブリーザー間に働く相互作用の距離依存性の解析的な表式を導いた。ここで開発した導出方法は、一般のフラクソン対間相互作用の解析に適用でき、有用である。
|