2009 Fiscal Year Annual Research Report
充填スクッテルダイト化合物の純良単結晶育成とその電子状態の解明
Project/Area Number |
20540358
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
菅原 仁 Kobe University, 理学研究料, 教授 (60264587)
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Keywords | 物性実験 / 磁性 / 強相関電子系 / 低温物性 / 熱電材料 |
Research Abstract |
本研究ではフラックス法や高圧合成法を駆使して、充填スクッテルダイト化合物の純良単結晶を育成し、dHvA効果や電子輸送効果測定を用いて、この物質が示す異常現象についての研究を行った。具体的には以下の通りである。 (1)PrOs_4P_<12>の4f電子の結晶場状態における混成効果 (2)PrRu_4P_<12>の異常な少数キャリアー秩序状態 (3)充填スクッテルダイト化合物の格子比熱の系統的な研究 (4)SmOs_4P_<12>のdHvA効果 (1)ではPrOs_4P_<12>の中性子非弾性散乱を測定し、結晶場エネルギーレベルの温度変化を明らかにした。その結果、p-f混成効果がこの系および他のPr充填スクッテルダイト化合物の重い電子状態の形成に重要な役割を果たしていることを指摘した。(2)ではPrRu_4P_<12>の磁気抵抗を測定し、約60K以下で出現する金属-非金属転移での大きな結晶場変化と電子散乱の関係を明らかにした。(3)では多くの充填スクッテルダイト化合物の比熱測定を行い、その格子比熱の系統的な比較からラットリング現象について議論した。(4)ではSmOs_4P_<12>の単結晶育成に初めて成功しdHvA効果の測定を行った。その結果、Smの4f電子は良く局在しており、SmFe_4P_<12>やSmOs_4Sb_<12>ほど有効質量が増強されていないことを明らかにした
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