2010 Fiscal Year Annual Research Report
充填スクッテルダイト化合物の純良単結晶育成とその電子状態の解明
Project/Area Number |
20540358
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
菅原 仁 神戸大学, 理学研究科, 教授 (60264587)
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Keywords | 物性実験 / 磁性 / 強相関電子系 / 低温特性 / 熱電材料 |
Research Abstract |
本研究では充填スクッテルダイト化合物RT_4X_<12>(R=希土類,T=Fe,Ru,Os,X=P,As,Sb)やカゴ状化合物RT_2AI_<10>の純良単結晶を育成し、種々の実験的手法を用いて、これらの物質が示す異常現象についての研究を行った。具体的には以下の通りである。 (1)LaPt_4Ge_<12>とPrPt_4Ge_<12>の^<73>Ge-NQR/MRによる超伝導特性の研究 (2)PrOs_4Sb_<12>の時間反転対称性が破れた超伝導状態の混晶効果 (3)RRu_2Al_<10>(R=La,Pr)の電気的・磁気的特性 (1)では、PrPt_4Ge_<12>は比熱やミューオンスピン回転の実験から超伝導ギャップがポイントノードを持つ強結合超伝導の可能性が示唆されていたが、本研究では^<73>Ge-NQR/MRの実験からからBCSタイプの超伝導であることを明らかにした。また、比較的高い超伝導転移温度の起源としてラットリングが関与していることを示唆した。(2)ではPrOs_4Sb_<12>の時間反転対称性が破れた(TRSB)超伝導状態を調べるため、PrサイトのLa置換とOsサイトのRu置換を行った試料をもちいてミューオンスピン回転の実験を行った。その結果、Ru置換に対してはRuが60%でTRSB超伝導が消えることが明らかとなった。一方、La置換に関しては全濃度領域でTRSB超伝導が保たれることから、結晶場励起状態が関与した超伝導状態であることを示唆した。(3)カゴ状近藤化合物CeT_2Al_<10>。(T=Fe,Ru,Os)の比較物質であるRT_2Al_<10>(R=La,Pr)の純良単結晶育成を行い、電気抵抗や磁化測定からそれらの基礎物性を明らかにした。特にLaRu_2Al_<10>のdHvA効果の観測によりフェルミ面やサイクロトロン有効質量を決定した。
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