2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540361
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
小田 祺景 University of Hyogo, 大学院・物質理学研究科, 客員研究員 (50029526)
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Keywords | 強相関電子系 / 金属物性 / 物性実験 / 超伝導 / 磁性 |
Research Abstract |
我々が報告したTiCoの超伝導は、3d-band化合物でかつ強磁性に近い遍歴電子系では初めての超伝導として大変興味深い。我々の最終目標は、種々の実験を行い、クーパー対波動関数の対称性などを含む超伝導特性や磁性との相関を明らかにすることである。しかしながら超伝導転移温度が低いためにこの目的を達成することは容易ではない。 昨年度はまず、常伝導状態における物性を明らかにするために、電気抵抗、比熱、直流磁化率の測定を行った。その結果、これらの物性は強磁性に近い物質特有の性質を持っており、理論と矛盾しないことが明らかになった。また、この物質は微量の強磁性クラスターを含むことが明らかになり、典型的な磁気余効が観測されることがわかった。これが低温における比熱の異常、低磁場における磁化の異常として現れるだけでなく、超伝導転移温度に敏感に関係しているらしいことがわかってきた。これらの結果は欧文誌に発表した。また、今までの成果をまとめて国際会議(LT25)で発表した。 試料の製作に関しては、超伝導転移温度を上げることを目的として高純度のコバルトとチタンをジョンソンマッセイ社から購入して、新たに製作した。この結果、40〜50mkの超伝導転移温度を持つ試料を比較的安定して製作できるようになったのは進展であった。しかし、残念ながら多結晶試料ではそれ以上の転移温度は得られなかった。現在単結晶試料の製作に挑戦しており、この結果に期待している。 技術的には稀釈冷凍機を改造して冷凍能力の向上を図ったが、20mK以下までの微小な比熱を測定するためには微小試料の温度計測になお課題が残っていることが判明した。 平成21年度はこれらの課題を克服すべく努力するとともに、超伝導転移温度を上げるための試みも継続する計画である。
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Research Products
(4 results)