2008 Fiscal Year Annual Research Report
高圧力下で磁性・非磁性転移と超伝導を示すCeRhSi_3の圧力下電子状態研究
Project/Area Number |
20540362
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
寺嶋 太一 National Institute for Materials Science, ナノ物質ラボ, 主幹研究員 (40343834)
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Keywords | 強相関電子系 / 磁性 / 量子相転移 / フェルミ面 |
Research Abstract |
CeRhSi_3は反転対称性のない結晶構造を持ち、常圧では反強磁性体であるが、圧力により反強磁性を抑制していくと、超伝導を示す。 それ故、この化合物は次の二つの点で極めて興味深い。 1)超伝導が反強磁性から常磁性への量子相転移に関連していると考えられる点。 2)反転対称性のない結晶に発現する超伝導である点。 H20年度はCeRhSi_3とCeをf電子を持たないLaで置換した対照物質LaRhSi_3の角度分解ドハースファンアルフェン(dHvA)効果測定を行い、バンド計算の結果と併せて検討した。 LaRhSi_3のdHvA周波数はバンド計算により正確に説明される。一方、CeRhSi_3のdHvA周波数はLaRhSi_3のdHvA周波数とは異なり、かつ、LaRhSi_3には存在しない大きなdHvA周波数があることが実験的に明らかになった。このことよりCeRhSi_3ではCe-4f電子が遍歴でフェルミ面に寄与していると考えられる。ただし、観測されdHvA周波数は常磁性状態のCeRhSi_3に対する通常のLDA近似のバンド計算では余りよく説明できず、反強磁性秩序と強い電子間相関の影響を検討する必要がある。 これまでに、c軸方向のdHvA測定を高圧まで行うことにより、高圧下で反強磁性秩序が消失してもdHvA周波数や電子の有効質量は連続的に推移することがわかっている、今回得られた結果と併せて考えると、CeRhSi_3の磁性が遍歴型のものであることを強く示唆しており、フェルミ面の研究からCe化合物の遍歴磁性が明らかになった初めての例と考える
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