2010 Fiscal Year Annual Research Report
高圧力下で磁性・非磁性転移と超伝導を示すCeRhSi3の圧力下電子状態研究
Project/Area Number |
20540362
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
寺嶋 太一 独立行政法人物質・材料研究機構, ナノスケール物質萌芽ラボ, 主席研究員 (40343834)
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Keywords | 強相関電子系 / 磁性 / 量子相転移 / フェルミ |
Research Abstract |
CeRhSi_3と同様に高圧力下で磁性・非磁性転移と超伝導を示すEuFe_2As_2について高圧下の物性研究を継続した。すでに圧力26kbarでバルクの超伝導が発現することを明らかにしているが、今年度の主たる実施事項とその成果は次の通り。 (1)圧力相図を詳細に決定し、圧力誘起超伝導が鉄モーメントの反強磁性秩序の消失する約25kbarから約30kbarの狭い圧力範囲でのみ現れることを明らかにした。また、静水圧性の悪い圧力下ではバルク超伝導は発現しないことを明らかにした。 (2)超伝導最適圧力約25kbarでの上部臨界磁場測定を行った。上部臨界磁場の特異な温度依存性について、Eu^<2+>モーメントと伝導電子の間の交換相互作用を考慮したモデルを用いて解析し、強い交換磁場が働いていることを明らかにした。 (3)常圧から高圧約30kbarまで、電気抵抗、磁気抵抗、ホール効果の測定を詳細に行った。結果の解析は、まずEu^<2+>モーメントの電子輸送物性への影響を検討した。具体的にはEu^<2+>モーメントによる異常ホール効果とスピンディスオーダー散乱の大きさを見積もったが、結論としては影響はかなり限られたものであることが明らかになった。今後、ホール効果の解析を行い、キャリア数やモビリティの圧力変化について明らかにする。
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