2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540367
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
佐藤 正英 金沢大学, 総合メディア基盤センター, 教授 (20306533)
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Keywords | 結晶成長 / 拡散場 / 形態不安定性 / ステップ / パンチング / 流れ |
Research Abstract |
本年度は,(1)溶液からの微斜面の成長時や融解時に,溶液に流れが加わることによりステップの束状凝集,(2)ステップ直前に原子の供給源があることにより供給源からステップに向かって流れが生じる時のステップの蛇行について調べた。 (1) 溶液からの成長,または融解時には溶液に流れがあることによりステップの束状形成が起きることが定性的には知られていた。本研究ではステップを直線と仮定しモンテカルロ・シュミレーションを行い,ステップの束状凝集時における個々のステップの挙動を調べた。その結果,ステップの流れがステップの動く方向(成長時においては前進,融解時においては後退)と同方向にある時に,ステップの束状凝集構造が形成されることがわかった。さらに,個々のステップは常に1つの束内に束縛されているのではなく,束へ衝突および離脱を繰り返すことが分かった。ステップの束の大きさは,初期においては時間とともに増加するが,十分に時間が経つと一定値に収束することも分かった。なお,2次元ステップの挙動については現在研究内容をまとめて投稿中である。(2)ガリウム(Ga)を照射中のシリコン(Si)表面での櫛の歯状のステップの蛇行パターンについて調べた。実験を念頭におき,ステップの前方の一定距離のところに常に一定密度の原子源があるモデルを作成してステップの挙動を調べ,ステップの櫛状パターンが現れることを示した。櫛の歯状の間隔は時間とともに大きくなることや,ステップの前進速度の2分の一乗に反比例して短くなることを示した。現在はより実験の状況に近いモデルを構築し,その挙動について調べている。
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