2009 Fiscal Year Annual Research Report
類似構造をもつ強誘電性及び超伝導性酸化物の相転移と量子ゆらぎの理論
Project/Area Number |
20540369
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
松下 栄子 Gifu University, 工学部, 教授 (20183105)
|
Keywords | 強誘電性 / 超伝導 / ペロフスカイト酸化物 / 相転移 / 量子効果 / 相境界 / リラクサー / イオン伝導 |
Research Abstract |
ペロフスカイト構造及び関連の類似構造をもつ酸化物について、強誘電性でも超伝導性でも、類似構造のところで転移点が高くなったり、構造相転移の類似した相境界近傍で、応用上の有用な特性が見つかったりする。それは、構造に特有のフォノンが特異な物性の発現に重要な役割を担っている証拠で、相転移をもたらす量子ゆらぎの正体が鍵を握っていると考え、研究を進めた。 [1]ペロフスカイト型強誘電体の相境界 強誘電体混晶において、Cubic-TetとCubic-Rhomboの相境界(モルフォトロピック相境界、MPB)が出現する所で有用なリラクサー特性が表れるが、その特異性を導出する一般論を仕上げた。その結果、単独物質において構造の逐次相転移をする形で、MPBの要素を発現するBaTiO_3に注目し、1次転移の前後で強誘電的な微小クラスターが生長する様子を直接捉える方法を開発した。その成果は既に論文発表してあり(2009.12)、今後、理論と実験の共同研究として軌道に乗せる素地を作ることが出来た。 [2]量子ゆらぎによる、エキゾティックな超伝導 酸化物高温超伝導体における転移点の酸素同位体置換効果について、光学フォノンの役割から説明に成功したのを受け、その理論の拡張を試みた。1年前に見つかった、フラーレン超伝導体のA-15構造における転移点の上昇データを説明する理論をいち早く手がけ、国際会議で発表した(2009.9)。英国の実験グループと直接議論した結果、幾つか疑問点を出されたので理論を検討し直し、半月後の日本物理学会(2009.9)において再びディスカッションし、合意に達するという進展を見せた。目下、論文作成中である。
|