2009 Fiscal Year Annual Research Report
超統計に対する熱力学形式の定式化と複雑系におけるスケーリング則の系統的導出
Project/Area Number |
20540374
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
阿部 純義 Mie University, 大学院・工学研究科, 教授 (70184215)
|
Keywords | 超統計 / 熱力学形式 / 条件付き確率 / 複雑系 |
Research Abstract |
平成21年度前半は、一般化された分子的混沌の仮説とH定理、およびスケーリング則とその破れについての研究をおこなった。非加法的統計力学の理論形式がどのように修正されるべきかを示した。また、Markov性を特徴づけるスケーリング則を実際の複雑系に対して吟味し、非Markov性を明らかにした。更に、非加法的統計力学で標準的に用いられている「q-期待値」が、確率分布の微小変化に対して一般に不安定であることを証明した。 平成21年度後半は、超統計の熱力学形式に対する条件付き確率の概念によるアプローチを研究した。 なお、上記の課題以外に、時間依存調和振動子の不変量に対するNoetherの定理の応用、および地震の複雑ネットワークにおける粗視化のスケールの決定に関する研究をまとめる機会ももった。特に、後者に関しては、地震の複雑ネットワークを構成する際に導入される地域分割のセルのサイズを、日本、カリフォルニア、イランの3つの独立したデータに対して普遍的に決定することを可能とする方法を見出した。
|