2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540376
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮崎 修次 Kyoto University, 情報学研究科, 講師 (50284170)
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Keywords | 非平衡・非線形物理学 |
Research Abstract |
(1)グラフ上の酔歩の大偏差統計解析により,グラフの幾何学的特徴を抽出することを試みた.遷移行列(フロベニウス-ペロン演算子の行列表現)を大偏差統計解析の枠組みで拡張し,その最大固有値から得られる統計構造関数や優固有ベクトルから得られるギブス確率測度の対応量を用いグラフの特徴的な局所構造を捉えることに成功した.実在するソーシャル・ネットワーキング・サービスから得られたグラフ(ネットワーク)をこの手法を用いて解析し,この社会ネットワークのコミュニティ構造を抽出することができた.(2)周期性の強いカオス写像の結合系において,カオス位相同期発生点前後のリヤプノフスペクトル,リターンマップ,位相差の大偏差統計を求めた.(3)周期性の強いカオス写像の結合系において,カオス位相同期状態で現れるマルチベイスンが複雑な自己相似構造を呈することを示し,パラメータミスマッチによる間欠性時系列の大偏差統計解析を行った.(4)不規則な時空パターンの大偏差統計解析の準備として,Swift-Hohenberg方程式に周期的な時間変動をする外場を加えたモデルの緩和現象を解析した.これは,ガーネット薄膜に周期的に変動する磁場を加えたときの薄膜に現れる迷路状パターンを説明する現象論的モデルである.当該年度末に(1),(2),(4)はProgress of Theoretical Physics誌に,(3)は形の科学会欧文誌FORMAに投稿した.現在,査読中である.
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