2008 Fiscal Year Annual Research Report
非定常液滴の分裂に関する理論的研究と数値計算法の開発
Project/Area Number |
20540377
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
松岡 千博 Ehime University, 理工学研究科, 講師 (10270266)
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Keywords | 非定常 / 液滴 / 渦層 / 数値計算法 / 二層流体 |
Research Abstract |
本研究では、雨滴や石鹸膜といった平衡状態に近い液滴ではなく、刻々とその形を変えていく非平衡液滴の運動を解析的かつ数値的に追いかける。本年度では非定常液滴のふるまいを高精度で数値計算できる計算スキームを開発し、様々な表面張力係数をもった2層流体の海面の運動を長時間安定に計算できるようにした。 液滴の分裂はpinch-offあるいはpinching singularityと呼ばれる、液滴中のある部分が非常に狭くなる現象によって引き起こされる。Pinch-offが生じた部分は解の一価性を失い、最終的にはちぎれてより細かい液滴に分裂する。Pinch-offがいつどのような場所で生じるか(あるいは生じないか)は流体の密度比や境界の形状、考えている系の次元(2次元か3次元か)によって異なると予想されているが、これまでのところ特定の初期値と密度比の場合を除いては詳しいことはわかっていない。本研究では任意の密度比における2次元の非粘性液滴について、その分裂条件を理論的に解析し、どのような変形でもpihchingは引き起こされるのかどうか、また、密度比の変化によって生じると予想されている質的な変化とはどのようなものであるかを明らかにした。 また、表面張力係数、密度比、重力の3つのパラメーターがある条件を満たすときには、非常に長時間ほとんど静止状態(線形状態)を維持した後で、急に大きく(非線形)成長する界面の運動を見出した。この運動はこれまで知られていなかった新しい現象で、本研究の高精度数値計算スキームが可能にしたものである。
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