2009 Fiscal Year Annual Research Report
2次元積層系における交代4極子秩序相出現機構の解明
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20540378
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| Research Institution | Kyushu University |
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Principal Investigator |
井戸垣 俊弘 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 教授 (40038013)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩下 孝 東海大学, 総合教養部, 教授 (70071842)
村岡 良紀 有明工業高等専門学校, 教授 (60229953)
稲垣 裕次 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教 (10335458)
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| Keywords | イジングモデル / ポッツモデル / 双2次交換相互作用 / 相転移 / 4極子相互作用 / 積層系 |
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| Research Abstract |
本研究の目的は、イジング型強磁性薄膜(2次元積層系)を利用して3次元系の相転移温の新しい評価方法を提唱・検討すると共に、スピンの高次項を持つ系に特徴的に見られる4極子秩序相の出現機構を明らかにすることであり、初年度(平成20年度)にはこの前半のテーマについての研究成果を報告した。
2年目になる本年度は、後半のテーマと関連して高次のスピン項を持つイジングスピン系に等価なq状態ポッツモデルに着目し、2次元積層系における特にq=3の3状態ポッツモデルの静的・動的相転移をモンテカルロシミュレーション(ヒストグラム法)で解析した。その結果、静的相転移については積層数を増やすにつれて2次元格子における2次の相転移から、ある臨界積層数Zcで3次元格子に特徴的な1次の相転移へと移行することを初めて確認した。また、このZcは2次元格子のサイズLに依存して増加し、L→∞極限でZc→∞となることを示唆する結果を得た。このポッツモデルに振動磁場を印可すると、ポッツ磁化が温度の低下につれて磁場に追随しなくなり、ある温度でポッツ磁化が有限の値を持ち始める。この"動的相転移"については、従来q=2に対応するイジングモデルでしか調べられていなかった。今回本研究では、系の対称性を正しく反映出来る拡張型のゼーマン項を創案し導入することにより、q=3の系に対して静的相転移と動的相転移を含めた温度と磁場についての全磁気相図を作成することに成功すると共に、この型のゼーマン項を用いれば任意のqについて同様な解析が出来ることを指摘した。
来年度は、後半のテーマである4極子秩序に伴う相転移の特徴ならびにその出現機構を実験的な側面からも検討して行く予定である。
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