2008 Fiscal Year Annual Research Report
キラル自触媒化学システムにおける空間不均一性の成長が光学純度にもたらす効果の解析
Project/Area Number |
20540380
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
朝倉 浩一 Keio University, 理工学部, 准教授 (30222574)
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Keywords | キラル対称性の破れ / 散逸構造 / キラル自触媒反応 / 不斉増幅反応 / 結晶成長 / 非線形動力学モデル / 国際情報交換 / アメリカ |
Research Abstract |
Soai反応とは、ピリミジンアルデヒドの誘導体をジイソプロピル亜鉛と反応させて不斉アルコール類を合成する反応であり、自発的にホモキラルな状態を出現させることが報告されている化学反応である。本研究の目的は、このSoai反応について、まず第1にそのランダムに自発的にホモキルな状態が発生するメカニズムを解明し、第2にはその結果に基づいてSoai反応が散逸構造としてのキラル対称性の破れを実現させる可能性の理論的検討を行ない、最後に散逸構造としてのキラル対称性の破れを人工的な化学実験により実現させることを試みるものである。平成20年度の研究においては、この化学系にて不斉アルコールが合成されるSoai反応のみならず、芳香族環に直接イソプロピル基が付加する副反応が同時に進行することが明らかとなった。また、Soai反応はキラル自触媒的に進行することが示唆された実験結果も得られたため、化学系内ではキラル自触媒的Soai反応が優勢な領域と副反応が優勢な領域とが不均一に共存し、互いに競争的となるらしいとことが予想された。そしてこのような状況は、同じ条件で繰り返し反応を行なっても、試行毎に生成物の収率や光学純度に大きなばらつきを生じさせ、反応の結果は撹拌速度や反応器のサイズに大きく依存する結果をもたらした。また、高温においてはSoai反応がより優勢となり、低温においては副反応が優勢となる傾向が観察された。
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Research Products
(1 results)