2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540383
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
田中 秋広 National Institute for Materials Science, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, MANA研究者 (10354143)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 昌仙 独立行政法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, MANA研究者 (40370308)
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Keywords | ベリー位相効果 / 分数量子化 / トポロジカル秩序 / スピン液体 / ゲージ対称性 / グラフェン由来物質 / 量子ホール効果 / スピン量子ホール効果 |
Research Abstract |
(1)京大基礎物理学研究所の戸塚氏と共同で、強磁場の下での反強磁性体の相図を量子位相(ベリー位相)の観点から検討し直した(Physical Review B 79(2009)064412)。詳細な解析はこれまで一次元系についてのみ得られていたが、本研究では任意次元における量子効果を調べる方法を提示した。その概要は次の通り。まず、系の低エネルギー有効理論を導出した。いま、磁場方向の磁化ベクトルの揺らぎは、磁場の存在によりほぼ凍結しているので、主要な有効自由度は磁場に垂直な面内のスタガード磁化の運動である。これを反映して有効理論は一種のXY模型となるが、そこにはこのスタガード磁化の創るボルテックス励起に由来するベリー位相項が付加され、非自明な量子効果を生み出すことが分かった。これにより一次元系における押川等の磁化プラトーの量子化則が再現される他、高次元ではS-m(S:スピン量子数、m:サイト当たりの磁化)が有理数のときに離散的なゲージ対称性がダイナミカルに生じて、分数励起を持つスピン液体相が生じる余地のあることが新たに示された。 (2)グラフェン様物質において系のリーマン曲率にベリー位相効果を介して電磁場が結合することを特定した。この新しいベリー位相効果を用いて、ボロンナイトライド等のグラフェン様の絶縁体において、電荷量子ホール効果やスピン量子ホール効果と等価の電磁応答を起こさせる可能性が示唆された。(2009年物理学会年次大会にて発表。論文を準備中。)
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Research Products
(20 results)