2009 Fiscal Year Annual Research Report
凝縮系の光励起電子-原子核ダイナミクスに対する時間依存密度汎関数計算手法の確立
Project/Area Number |
20540384
|
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
館山 佳尚 National Institute for Materials Science, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, MANA独立研究者 (70354149)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
胡 春平 独立行政法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, NIMSポスドク研究員 (00512758)
|
Keywords | 時間依存密度汎関数理論 / 光化学反応 / 光励起 / 光解離 |
Research Abstract |
凝縮系の光励起ダイナミクスシミュレーションに向けて今年度は時間依存密度汎関数理論(TDDFT)ベースの励起状態計算手法の妥当性検討を行い、以下のような成果を得た。 (1)凝縮系においては電荷移動型の光励起はたびたび起こる。この電荷移動型の励起エネルギーをTDDFTを用いて精度よく計算する事は困難であることが指摘されてきた。我々は最近提案され電荷移動型励起エネルギーをより高精度に記述可能といわれるmodified線形応答スキームを用いて、それが凝縮系でどれだけ有効か検証を行った。具体的にはフラーレンとフェロセンで構成されるナノシートにおいて観測されている赤色シフトが本当に得られるかどうか検証を行った所、確かに赤色シフトを行うフェロセンからフラーレンへの電荷移動励起を求めることができた。この検証はmodified線形応答スキームの有用性を示す一方、実際の計算における幾つかの問題点も明らかになった。 (2)光励起状態のダイナミクスを取り扱う上で、非断熱遷移をどのように扱うかということが大きな問題となっている。我々はTDDFT線形応答を用いたこの非断熱遷移を支配する非断熱結合係数の計算手法をさらに発展させた。今回は原子局在基底を用いることにより、これまで用いていた擬ポテンシャル法では取り扱えなかった、コア電子の変化をフルに考慮することを可能にし、当該係数計算の精度向上を図った。また原子局在基底を用いることで、ある種の和法則が厳密に満たされることがわかり、これが計算精度を確認するバロメーターと成ることを確認した。
|
Research Products
(19 results)