2010 Fiscal Year Annual Research Report
凝縮系の光励起電子ー原子核ダイナミクスに対する時間依存密度汎関数計算手法の確立
Project/Area Number |
20540384
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
館山 佳尚 独立行政法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, MANA独立研究者 (70354149)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
袖山 慶太郎 独立行政法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, MANAボスドク研究員 (40386610)
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Keywords | 時間依存密度汎関数理論 / 光化学反応 / 光励起 / 電荷移動励起 / 円錐交差 / 非断熱遷移 |
Research Abstract |
凝縮系(表面系・固液界面系・溶液系)の光励起ダイナミクスの定量的解析手法の確立に向けて、今年度も時間依存密度汎関数理論(TDDFT)ベースの励起状態計算手法の確立・拡張を行うと共に、光触媒・太陽電池・ナノテク系等の現実系に対する解析も行い、以下のような成果を得た。 (1)光励起ダイナミクスの定量的記述に向けて励起状態のポテンシャル面の形状自体の精度及び、異なる断熱ポテンシャル面(例えば励起状態と基底状態)間の状態の遷移、すなわち非断熱遷移の取り扱いが重要となっている。この問題に対し、TDDFT線形応答法をベースに非断熱結合係数のより一般的な計算手法の開発を行った。本手法はこれまで問題があった擬ポテンシャルを用いた計算に対しても高精度を与えるものとなっており、凝縮系のシミュレーションに対して非常に有効なものとなっている。以上により凝縮系の光励起ダイナミクスシミュレーションがより現実的なものとなった。なおその実証計算は来年度以降取り組んで行く予定である。 (2)本研究課題の最終目標である光触媒・太陽電池等の実在系の光励起挙動の解析に向けて、まずその基底状態探索および光吸収スペクトルの解析等、光励起ダイナミクスに向けた準備計算も実行した。光触媒系については代表的な二酸化チタン/水の固液界面を原子・電子レベルでフルに取り扱うことに挑戦し、光励起後の酸化還元反応の反応性に関する新しい知見を得るに至った。また太陽電池系では表面吸着色素分子の構造を求めた後、TDDFT線形応答法ベースの光吸収スペクトル計算を実行し、これまで曖昧であった励起ダイナミクスの初期状態に関する知見を得た。これらの研究成果は、今後のエネルギー・環境系に対する凝縮系の光励起ダイナミクスシミュレーションを用いた理論的解析の実現に大きく貢献するものとなった。
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Research Products
(15 results)