2009 Fiscal Year Annual Research Report
ボース凝縮体の磁気相転移におけるキッブル・ズレック機構
Project/Area Number |
20540388
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
斎藤 弘樹 The University of Electro-Communications, 電気通信学部, 准教授 (60334497)
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Keywords | 冷却原子気体 / ボース・アインシュタイン凝縮 / キッブル・ズレック機構 / 磁化 / 量子渦 |
Research Abstract |
本研究は本来宇宙論の分野で提唱されたキッブル・ズレック機構を原子気体のボース・アインシュタイン凝縮体の磁化過程に適用し新しい現象を見出すことを目的としている。昨年度までの研究でスピノールBECにおいてもキッブル・ズレック機構が発現することが既に明らかにされたため、今年度は主に量子渦が関連した様々な物理現象に焦点を絞って研究を行った。特に2成分BECの界面における3つの新しい現象を発見した。1つは磁性流体との類似で磁気双極子相互作用するBECの界面がスパイク状のパターンを形成するという現象である(Rosensweig不安定性)。この状態に量子渦を加えると、超固体や永久流といった興味深い物理と関連することがわかった。2つ目は互いに流れる2成分BEC界面におけるKelvin-Helmholtz不安定性の研究であり、3つ目は互いに押し合う2成分BEC界面におけるRayleigh-Taylor不安定性の研究である。これらの不安定性は古典流体において古くから知られているが、古典流体との大きな相違点は渦が量子化されるという点である。量子渦によってこれまで知られていたものとは異なる量子流体特有のダイナミクスが生じることを見出した。また、磁気双極子相互作用が自発磁化する過程でスピン渦が生じることを見出した。これはキッブル・ズレック機構によるものではないが、長距離相互作用によって安定な磁気配置が形成される過程で、トポロジカルな欠陥が自発的に作られるという興味深い現象である。
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Research Products
(14 results)