2010 Fiscal Year Annual Research Report
ボース凝縮体の磁気相転移におけるキッブル・ズレック機構
Project/Area Number |
20540388
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
斎藤 弘樹 電気通信大学, 情報理工学研究科, 准教授 (60334497)
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Keywords | 冷却原子気体 / ボース・アインシュタイン凝縮 / キッブル・ズレック機構 / 磁化 / 量子渦 |
Research Abstract |
本研究は本来宇宙論の分野で提唱されたキッブル・ズレック機構を原子気体のボース・アインシュタイン凝縮体の磁化過程に適用し新しい現象を見出すことを目的としている。昨年度までの研究でスピノールBECにおいてもキッブル・ズレッタ機構が発現することが既に明らかにされたため、今年度は主に量子流体力学に関する研究とリング型トラップ中の2成分系に関する研究を行った。最も大きな成果は、BECのような超流体においても、古典流体力学でよく知られたカルマン渦列に似た量子渦状態が生成されることを示したことである。古典流体では粘性の効果によってカルマン渦列が生成されるが、超流体は粘性を持たないため、超流体においてカルマン渦列が生成されるという事実は驚くべきことであると言える。その他、古典流体力学で知られているケルビン・ヘルムホルツ不安定性がBECでどのように発生するかを研究し、2成分流体の界面の幅が大きい場合は対向流不安定性との間のクロスオーバーが現れることを明らかにした。また、2成分BECにおける泡の運動について研究を行った。このような量子流体力学に関する一連の研究は、古典流体力学に対しても新たな知見を与える可能性を秘めている。リング型トラップ中の二成分BECに関する研究では、フェッシュバッハ共鳴を利用して二成分間の混合性を変化させることによって、全角運動量保存則と循環の量子化の間の競合が生じて、興味深いダイナミクスが現れることを示した。
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Research Products
(13 results)