2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540389
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小芦 雅斗 Osaka University, 大学院・基礎工学研究科, 准教授 (90322099)
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Keywords | 量子暗号 / 量子鍵配送 / 相補性 / 量子もつれ / 量子中継器 / DFS |
Research Abstract |
粒子の位置と運動量など、互いに共役な関係にある物理量は、どちらか一方を選んで測定はできても、両方を同時に測定することは原理的にできない。このような量子力学の相補性を利用して、量子暗号のセキュリティを証明する一般的な手法の構築を進めており、本年度は、他のプロトコルと併用した場合でもセキュリティが失われない形で定式化を行った。また、量子もつれを持つ光子対を用いる量子暗号方式について、普及型の検出器を用い、光源については何の仮定も設けずにセキュリティを保証する手法を提案した。この結果は、量子もつれを持つ光子対の使用によって、光源の信頼性の問題を回避できることを示す。とくに、量子中継器を用いた長距離量子暗号では、光源が実質上盗聴者の支配化にあるので、このようなセキュリティの証明は重要である。 量子暗号では光子の量子状態をなるべく壊さずに受信者に届ける必要があるが、光ファイバ等を用いた通信路では、様々な雑音が混入してくる。その中で、屈折率ゆらぎのようなゆっくりした雑音は、異なるパルスに同じ変化が加わる形をしており、この場合にはDFSと呼ばれる量子状態保護の手法の適用が可能になる。これまで、DFSの状態を直接発生させて、その状態が保護されることは実験で確認されているが、そのような手法は他の系と量子もつれを持つ量子系の送信には適用できない。本年度は、与えられた任意の量子状態をDFSの状態に変換して通信する手法を用い、量子もつれをもつ量子系をDFSにより雑音から保護できることを実験的に示した。
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Research Products
(11 results)