2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540392
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
柏谷 聡 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, エレクトロニクス研究部門, 研究グループ長 (40356770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田沼 慶忠 秋田大学, 工学資源学部電気電子工学科, 准教授 (90360213)
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Keywords | Sr2RuO4 / スピン3重項超伝導 / 半整数磁束量子 / カイラルp波 / マイクロデバイス / ジョセフソン接合 / 超伝導ネットワーク / SQUID |
Research Abstract |
Sr2RuO4(SRO)はカイラルp波超伝導体の可能性が強く示唆されており、その超伝導状態には従来から広く研究されてきた金属超伝導体や銅酸化物超伝導体とは全く異なる輸送特性が期待される。一方SROの超伝導は不純物散乱に対してきわめて弱く、ごく微量の欠陥や不純物により容易に超伝導性が失われることが知られている。そのため現在まで超伝導臨界温度を有するSROを薄膜作成技術により作成した例はなく、そのマイクロデバイス作成はきわめて難しいと考えられている。我々は単結晶よりSROをマイクロデバイス化する技術を確立し、SRO中にトラップされた半整数磁束量子状態をSQUIDにより観測し、将来的にトポロジカル量子ビットの実現可能性を切り開くための研究を行っている。今年度はSROの微小結晶の輸送特性が、超伝導ネットワークと思われる内部構造を有しており、その輸送特性を詳細に観察した結果、カイラリティに起因すると考えられる異常なヒステリシスの存在を確認し、その運動のモデル化を行った(Phys.Rev.Lett誌に発表)。またC軸方向にのみ電流輸送が許されるマイクロブリッジを作成し、ジョセフソン接合としての特性を確認した。その磁場特性は磁場とともに一様に臨界電流が抑制される応答であり、期待された磁場振動成分の観測はできなかった。SQUIDに関しては作成には成功したが、熱破壊により試料自体が壊れ、磁場特性の成功にはいたらかなった。一方理論的にはカイラルp波超伝導体内の状態密度の計算を行い、奇周波数超伝導成分と磁束量子のコア伏態との関連を明らかにした(Phys.Rev.Lett誌に発表)。
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