2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540392
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
柏谷 聡 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, エレクトロニクス研究部門, 研究グループ長 (40356770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田沼 慶忠 秋田大学, 工学資源学部・電気電子工学科, 准教授 (90360213)
川畑 史郎 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノテクノロジー部門, 主任研究員 (30356852)
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Keywords | Sr2RuO4 / スピン3重項超伝導 / 半整数磁束量子 / カイラルp波 / マイクロデバイス / ジョセフソン接合 / 超伝導ネットワーク / SQUID |
Research Abstract |
トポロジカル量子計算(QC)に関する実験的な基礎を確立することを目的として、非アーベル統計に従うと期待される半整数磁束量子を、ルテニウム系酸化物超伝導体Sr_2RuO_4(以下SROと略す)超伝導体において観測する試みを行った。SROはカイラル内部自由度を有する超伝導として、半整数磁束量子の存在が許されるということは理論的には予言されているが、実験的な確認は現在までになされていない。整数磁束量子に対して、半整数状態が安定化される条件は磁束進入長の2-3倍程度と予測され、1ミクロン程度サイズのブリッジ加工が必要と見積もられる。FZ法により作成された単結晶からab面内、c軸方向いずれの方位に対しても微細素子が作成できる技術を構築し、輸送特性を測定した。その結果c軸方向では大きなヒステリシスループを有するI-V特性を観察し、Nbなどの従来型超伝導と類似のスイッチング特性を観察した。一方面内ではジョセフソンスイッチングとは別の起源を有すると考えられるヒステリシスループを観察し、その起源はカイラルドメインと関連するものと考えられる。超伝導ループ内の2カ所に弱結合を有するDC-SQUIDの輸送特性の測定に関しては、非常にランダムなスイッチングと、規則的ではあるが磁場応答の無いスイッチングの2種類の応答を観察した。磁場応答が無いことより期待されたDC-SQUIDとしての動作はしていないと考えられ、現在その理由を明らかにすべく、追加工デバイスの作成を行っている。SROの内部自由度と連動し、臨界電流が単純なジョセフソン効果ではなく、dベクトルや1ベクトルの連動した複雑なメカニズムに依存してる可能性を明らかにすべく、回転磁場を応用した測定を計画している。
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