2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540393
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
秋葉 誠 National Institute of Information and Communications Technology, 新世代ネットワーク研究センター・量子ICTグループ, 主任研究員 (80184109)
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Keywords | アバランシェフォトダイオード / 高光検出効率 / 低雑音読み出し回路 / 出力電子数分布 |
Research Abstract |
本年度では線形増倍層と通常のAPD構造とを組み合わせたAPDの第一次試作を行った。液体窒素温度で測定した結果、低いバイアス電圧においては線形増倍層が正常に動作し、2倍の増倍で過剰雑音係数が1つまり、ほとんど増倍雑音がないことを確認した。しかしながら、バイアス電圧を更に上げ、通常のAPD増倍が起こる電圧領域では所期の特性を得ることができなかった。本来であれば、増倍雑音が通常のAPDの理論値と比べて低くなるはずであるが、全く低くなっていないことが分かったのである。これは、線形増倍層より前の領域でAPD増倍が発生し、本来の構造(線形増倍層の後にAPD増倍層)となっていないためであることが分かった。そこで、次の試作として、前段のAPD構造となってしまった部分に電界強度を弱める構造を導入することにしたが、連携研究者の製造装置が故障し、試作ができなかった。この故障は現在修理のめどが立っていない。そこで、連携研究者が使用しているアモルファスシリコンではなく、研究代表者の所属機関(NICT)で製造可能な化合物半導体(InAlAsとInGaAsの組み合わせ)を用いて同様の構造を製作するという新たな試みを行うことにした。InAlAsはInGaAsよりバンドギャップが大きいので、線形増倍が可能な階段状ポテンシャル分布が形成できるのである。NICTでは化合物半導体の光検出器を製造した経験はあるが、階段状ポテンシャル分布を製作した経験がなく、一からの試作であるが、階段状ポテンシャル分布を持つフォトダイオードの第一次試作は本年度中に終えることができた。
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